ラブやん
●アフタヌーンを定期購読しだしたのは一年か二年くらいまえのことである。いつから購入しだしたのか、その正確な時期はさだかではない。なぜよみだしたのか、その動機もわすれてしまった。なにもかもおぼえていないのだが、ともかくわたくしはここ一年か二年くらい、せっせと律儀にアフタヌーンをかいつづけ、よみつづけている。ところがせんじつ、いまだに連載作品のストーリーの大半(というかぜんぶ)がさっぱりわかっていないのに気がついてがくぜんとしてしまった。なにをいまさらそんなことに気づいているのかといえば、愛読者プレゼントに応募するためにアンケートにこたえようとして、あのよくある「今月号でいちばんおもしろかった作品を挙げて下さい」という質問にこたえようとして、おもしろかったもへったくれも、どれもこれもさっぱりストーリーがわかっていないのばかりだと気づいちゃったのであった。アフタヌーンとわたくしとの関係はといえば、本屋でアフタヌーンをみつけると購入していえにかえり、フロにはいってるときになんとなくば〜っと全体をながめてよんだような気になって(しかし同時に内容をすべてわすれている)、ひとつきするとまた本屋に最新号がでてるのでかってきてユブネでなんとなくぱ〜っと全体をながめてよんだような気になって(しかしまたしても同時に内容をすべてわすれている)、そしてひとつきするとまた本屋に最新号がでてて、とそのくりかえしなのであった。いったいわたくしはなにがうれしくてこの本をかっているのだろう。われながらよくわからない。でもすくなくとも毎月毎月かいつづけてるんだから愛読者といえるはずだ、ならば愛読者プレゼントに応募する権利はあるはずだとかんがえ、わたくしは巻末の目次をたんねんにおいかけて、いちばんおもしろかった作品を挙げようとした。なんとなく「ラブやん」がおもしろかったような気がしたので、「ラブやんておもしろいよね?」とヨメにたずねてみた。じぶんがおもしろいとおもうものを挙げればいいはずなのに、なぜいちいちヨメにおうかがいをたててしまうのか、そのへんもわたくしにはよくわらかない。とにかくたずねてみると、「ふ〜ん、あれおもしろいんだ?」と気のない返事がかえってきた。
「うん。なんとなくおもしろかったような気がする」
「ふ〜ん」
「ところでラブやんて、なんであの男といつもいっしょにいるんだ?」
「え。そんなこともしらなかったん?」
「うん」
「ラブやんはなあ、天使なんや。そんで、あのロリコンの恋をかなえてやるためにあらわれたんよ」
「えっ? そうだったの?」
な、なんと。そうなのであったか。定期購読して一年か二年してはじめてしるこの驚愕の新事実。そういう話だったのかこれ。というかわたくしはそんな基本的なことさえわかっていなかったのか。と、しょうしょうショックをうけまして、でももしかしたらヨメがわたくしをたばかっているという可能性もぬぐいきれなかったので、ねんのために後日ラブやんの単行本を全巻購入していちからよんでみたら、ほんとにヨメのいうとおりであった。ラブやんはロリコン男の恋を成就させるべくあらわれた愛のキューピッドという設定なのであった。う〜ん。しらなかったよ。お気に入りの作品としてまっさきにあげたのにこのありさまなのであるから、他の作品にたいするわたくしの理解度についてはいまさらクドクドもうしのべる必要はないであろう。そんなわけでわたくしは、いままでアフタヌーンのなにをよんでいたのか、これからさきよみつづけることに意義があるのか、すこしばかりなやまないわけにはいかなかった。そもそもこのていどの理解力で、きょうまでそしてあしたからのわたくしのじんせいになにか意味があるのだろうか、といった方面にまですこしばかりおもいをよせてしまった。こんな愛読者ですいません。愛読者とはいわないのでしょうか。しりませんが、愛読者プレゼントはほしいです。もし当選したらちゃんと送ってください。第一希望はDVDプレイヤーです。
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